夫が転職した際、身元保証人を引き受けました。
私の身元保証人も、夫が引き受けています。
「万一本人が貴社の就業規則およびその他の規定等を遵守せず、もしくは規律を乱し、故意又は重大な過失により貴社に損害を与えた場合は、本人にその責任をとらせるとともに、私が身元保証人として本人と連帯して誠実に賠償の責任を負うことを誓約いたします」
…けっこうハードな文面で、ビビりました。
夫の場合、職業はプログラマーなので現金を扱うことはありませんが(私は事務職)、賠償責任なんて言われると、職種によってはドキッとしそうです。
身元保証書の意味とは?
就職時に提出する身元保証書は、単なる推薦状ではありません。
身元保証は日本独特の仕組みで、「この人はきちんと会社のルールを守ります」ということを別の人が証明し、何かあった時には費用を本人の代わりに負担する意思を示します。場合によっては別会計の親族限定(配偶者や親子NG)であったり、年金生活者NGだったりもします。
就職の際に身元保証人を立てることは法的根拠のある義務ではありませんが、社員全員が保証人を立てているとしたら、自分だけ断るのは非常に言いづらいです。
賃貸マンション・アパートの契約などでも保証人を求められますが、実家が(距離や心理的に)遠い人、外国人などにとっては、条件に合う保証人を探すのはなかなか大変です。
身元保証人のリスク
身元保証人の保証期間は、最長5年間です。保証書に期間が書いていない場合には3年になります。
この期間内に、本人が失踪など変な辞め方で会社を辞めたり、不祥事をやらかしてしまったりすると、保証人に連絡がいくことになります。
重大な過失や損害の例
- 会社のお金を横領して行方不明になった。
- 業務中にエロサイトを閲覧してウイルスに感染し、顧客情報が流出した。
- 出張中にいかがわしいお店で酔いつぶれ、機密情報の入ったパソコンを盗まれた。
※会社の指揮管理下でまじめに業務を行っていた中で失敗があっても、(まともな会社であれば)社員個人が賠償請求されることはありません。優良企業であれば、従業員に弁償させるような例はほとんど無いと思われます。
ただ、会社自体がブラックな場合は、危険が伴います。最大のリスクという意味では、金額があらかじめ分かっている借金の連帯保証人より危ないこともあると言われています。
身元保証人の頼み方
保証人を頼む順番は、まずは配偶者や親に頼みましょう。
多少親との関係が悪くても、就職先がまともな会社であれば、堂々と頼みましょう。日本で暮らしている以上は、お互い様です。
事情や条件でそれが難しい場合は、祖父母、夫の側の兄弟などが候補になります。
同じ状況の友人・恋人とお互いの保証人になったり、出身校の先生が引き受けてくれることもあるようです。あと、以前の職場の上司や先輩などに相談するのも良いかもしれません。
身元保証人の依頼の仕方ですが、必ず本人が直接対面か電話でお願いしましょう。
5年間(契約期間)仕事をきちんとまじめに勤める意思を示して、入社する企業も安心できるところだと伝えましょう。
間違っても、LINEなどで気軽に頼める用件ではないです。
就職の身元保証人が見つからない人はどうするか
身元保証人については、まず会社の方針を確認しましょう。
(入社してしまえば、身元保証書の提出が遅れているからといって提出を催促しないという会社もあるし、逆に試用期間書類がそろわないと解雇になる会社もあるとか)
金融・証券関係や、高額商品を扱う量販店・小売店などは条件が厳しく、複数の身元保証人を求められることもあるといいます。私の場合、初めからそういった関係の会社への就職は候補から外しました。
そのほか、
・外資系など、身元保証人の要らない企業に就職する
・親との関係が悪くても、正直に事情を話して親戚などに連絡してみる。(たとえ親経由の関係が疎遠でも、個人の人格がまともだと認めてもらえて就職先が優良企業であれば、引き受けてくれるかもしれない。)
・先輩・友人や母校の先生にお願いする。
・保証人代行の業者をあたる(怪しい業者もあるので、良く調べてからのほうがよいです)
などの方法がありそうです。
※外資系の企業は身元よりも前の会社などでの仕事ぶりを確認したい場合が多く、推薦状やリファレンス(聞き合わせ)が必要になることが多いです。
人間関係は面倒な場合も多いですが、いざという時に保証人を求められる日本という国で生きていくためには、保証人を引き受けあえる友人などは貴重かもしれません。