新型出生前診断(NIPT)とは、妊娠中、お母さんが採血するだけで胎児の健康状態を調べることができるという検査です。
予算15万円~20万円程度で、希望すれば性別検査もできるとのことです。
> NIPT平石クリニック 新型出生前診断(NIPT) 公式サイト
この検査でわかること
妊娠の初期から検査することができ、主にダウン症などの染色体異常を発見できます。ついでに性別もわかります(性別を本人に知らせない病院もあります)。技術的には、父親がだれかといった親子鑑定も可能です。従来の母体血清マーカー検査よりも信頼度が高く、子宮に直接針を刺す羊水検査のような感染症や流産の危険性がほぼないというのが利点です。
近年、この新型出生前診断は急速に普及していて、2018年12月28日の毎日新聞によると、35歳以上の妊婦に限ると、4分の1がこの検査を受けているとのことです。実際、私の周りの妊婦さんでもこの検査を受けた人がいます。
出産年齢が高くなるほどダウン症の出現比率が上がる(40歳で100分の1)と言われているため、よりこの検査が注目されていると思われます。
検査で異常がわかったらどうするの?
身もふたもない言い方をすると、出生前診断は、人工妊娠中絶を検討するための検査です。検査で異常が確定した人の95%以上が人工妊娠中絶を選択しています。(朝日新聞デジタル 2018年3月19日の記事)
多くの人は一生のうちに何度も妊娠することができるので、今回の子をあきらめて次の子を迎えるという選択も合理的だと思います。
後になって子供に「あんたなんて要らなかった」と言うくらいなら、産まない選択をするのはアリだと思います。
ただ、時間の余裕がない中、他の人に相談できないまま重要な選択を迫られるのは、本人にとって辛く、後でトラウマになりかねません。本人の希望でなく、家族や親戚の意向で不本意に方向性が決められてしまうこともありそうです。
検査では分からないことも多い
子供の病気や障害は、生まれてから分かることが圧倒的に多いです。
検査の結果が異常なしだったとしてもその子が健康で優秀だということは意味しないし、逆に異常があったとしても、その子の人生がどのようになるのかは分かりません。このページの最後に描いていますが、障害のある方のなかにも、さまざまに才能豊かな方がいます。
うちの子供の友達には(おそらくこの検査で選別の対象になる)障害のある子もいますが、夫婦の関係がよくて、行政や地域のサポートも受けられてフルタイムで共働きを続けられている例もあります。
とはいえ、情報は多いほうがよい
私個人の体験で言えば、妊娠初期に切迫流産で(人工妊娠中絶を取り扱わない)クリスチャン系の病院に入院してしまい、妊娠継続のために全力を尽くしていただいている中、とても出生前診断の話なんて切り出せない雰囲気でした。
ごく個人的な感想で人に押し付けるものではありませんが、私は過去に流産していたことから、妊娠が継続しているということは産まれたいという意思なのだろうと思ったし、婦人科系の病気があってもう次の妊娠はないかもしれなかったので、別の子を産むほうがよいという選択肢もありませんでした。自分自身が、子供の頃から「親に気に入られない子」なのではないかと苦しんだことから、自分の子供にいわゆる「条件付きの愛情」を設定したくないという思いもありました。
でも、言ってしまえば、NIPTに限らず、すべての妊婦さんが受けている検診はすべて出生前診断といえます。
出産前、赤ちゃんを迎えるための情報は、多いほどよい気がしています。赤ちゃんの健康に不安があった場合には、どこに住むのか、どんな支援が得られるのか、計画的な準備が必要です。先手先手で調べられると、心強いです。そういった準備を、赤ちゃんがお腹の中にいる時から始められるのは、出生前診断の利点かもしれません。
障害のある有名人
金澤翔子さん(書家。大河ドラマ「平清盛」の題字など)
>公式サイト
Madeline Stuart(オーストラリアのファッションモデル。ダウン症で初の職業モデルと言われる)
>公式サイト(英語)
Michel Petruccianni(フランス出身のピアニスト)
>レコード会社のサイト(英語)