Q. 育った家庭環境のせいで、結婚したいと思えません。 私も自分の親のように家族や子供を不幸にしてしまうのではないかと不安です。

A. 自分の人生は自分のもの。親の人生とは切り離して、自分の目指す人生を考えてみましょう。

毒への転送装置

私の周りには、親のようになりたくないから結婚しない、子供を持つ自分が考えられないから結婚したくない、という人が何人かいます。私も、そんな一人でした。

自分の育った環境を振り返ってみると、どうも親自身が子供時代の満たされない思いを引きずったまま成長を止めていて、まともな家族や親子の関係というのが一体どういうものなのか想像がつきませんでした。

親は何かあるとキレたり、暴れたり、死にたいと言ったり、自分の人生今までろくなことがないと言ったり、本人達を目の前にして、子供も家族も要らないと言ったり。
子供時代の私は、そんな親の機嫌をとったり励ましたりするのに精いっぱいで、もう生きててごめんなさい、といった気持ちでした。

私もそんな親の影響を十二分に受けて育ち、大人になってからも自分の進んでいる道にも確信がもてず、不安な日々を送っていました。人間関係や仕事環境が辛くなって転職を繰り返していました。

親のような人生は歩みたくないけれど、かといってどうしたらよいものか…
親からはずっと、どうせ結婚しても幸せになれないとか、体が弱いからまともな仕事を続けるのは無理だとか言われていたので本当にそんな気もしてきていました。

でも、30歳を目前にして実家を離れて仕事を始めたある日、そんな暗示が解ける日がやってきました。
少しずつ自分の世界が広がってきたら、親の言うことはすべてではない、という当たり前のことにようやく気づくことができました。

自分なりにきちんと働けて、まともに人間関係を築けている。
結婚して何年も経つけれど、夫と仲良くやれている。
親の祝福はなかったけれど、特に問題はありません。

自分の人生を狂わせていくのは、生い立ちそのものではなくて、生い立ちのせいでしみついてしまった行動パターンではないかと思います。

人生の岐路で、おかしな選択をしてしまう。
せっかくのチャンスを素直に活かせず、ふいにしてしまう。
そんな繰り返しで、見えない何かに支配されたまま、人生を終えてしまうのではないでしょうか。

3人に相談してから決める」でも書きましたが、まともな判断ができないように思考停止させるのが毒親です。そうなってしまわないためには、偏った意見で頭がいっぱいになってしまわないよう、なるべく広い視点で色々な人と関わることのできる環境に身を置くことから始まります。

子供の頃の生活環境は人格形成に大きな影響を与えるけれど、その後の人生も長いです。
ふと気づいてみれば、あの頃絶対的な存在だった親も、職場のお局さまも、今の自分より年下です。もちろん学校で私たちを苦しめていたいじめっ子も…

もう私は大人だ。あの頃の自分ではない。大丈夫。

不安な気持ちが残っていても、いつかそう思える日のために、新しく自分の人生を始めませんか。

今までいろんなことをあきらめてきたことを後悔し始めているのなら。
心のどこかで結婚したいと思っているのなら。

自分が辛い子供時代を送ったとしても、親の人生と自分の人生は別のものです。
たとえ親に反対されたとしても、自分で正しい道だと思うなら、なんとか、あきらめずに前に進んでほしいと思います。