映画・小説・エッセイ

家族問題に悩む人が見るべき作品を、独断ですが選びました。一部暴力的な作品もありますので、自身の判断でご覧ください。

映画

プレシャス(2009年 米)

毒親との関係に悩む人にはぜひ見ていただきたい映画。
16歳の主人公プレシャスは父親にレイプされて子供を生み、今も二人目の子を妊娠中。母親は家事を放棄し、プレシャスに暴力をふるう…というハードな家庭環境です。しかも、妊娠のため学校を退学になります。そんな中、フリースクールでの教育がプレシャスの生き方を変えていきます。当初、自分の気持ちを言語化できずにやられるままだったのが、学習で言葉を身につけ、信頼できる仲間を得て、辛い状況のなか前に進んでいくのです。
終盤、母親が心情を吐露する場面で毒親の心の奥を覗けます。悲しい事実ですが、子供に無条件の愛を持てなかったのが毒親なんだろうな… なお、マライア・キャリーがわりと重要な役で出演しているのですが、ノーメイクで印象もまったく異なり、まるで別人でした。

河出書房より原作小説も発売されています。>プレシャス (河出文庫)

プレシャス [DVD]

新品価格
¥2,900から
(2014/12/13 00:39時点)

私の中のあなた(2009年 米)

家族が何のためにあるのか考えさせられる映画。
この映画の主人公アナは、白血病の姉のために生まれてきた存在。生まれたときから臍帯血移植のドナーとなり、その後、輸血や骨髄移植など、子供の頃からドナーとして生きてきました。ついには片方の腎臓まで… アナは腎臓の提供を拒否し、両親を相手どり訴訟を起こします。
なぜか家族の中で自分だけが割りをくっていると思う人、いませんか。この作品は、主人公だけでなく、他の家族の心情にも触れられた名作だと思います。
早川書房より原作小説も発売されています。>私の中のあなた 上 (ハヤカワ文庫NV)

私の中のあなた [DVD]

新品価格
¥992から
(2014/12/13 00:54時点)

それでも夜は明ける (2013年 米)

実話をもとにした映画。突然拉致されて12年の奴隷生活を余儀なくされた黒人音楽家ソロモンの物語です。暴行、周りの見てみぬふり、裏切り等過酷な目に遭いますが、この主人公、自由になることをあきらめないんです。有名作「ショーシャンクの空に」にも通じる根性です。ちなみに、私の心に刺さったのは、楽しくも無いのに楽しいふりをさせられる奴隷たちのシーン。ダメな奴らだとわかっているのにメンバーを演じさせられる不毛さを思いました。この作品では12年後に主人公は脱出できましたが、実際には無数の奴隷たちが一生家畜扱いのまま死んでいったんだろうな…ブラッド・ピット出てます。

それでも夜は明ける コレクターズ・エディション(初回限定生産)アウターケース付き [DVD]

新品価格
¥3,200から
(2014/12/13 00:50時点)

嫌われ松子の一生(2006年)

病弱な妹に愛情を奪われ厳しく育てられた教師「松子」の転落人生を描いた作品。ここぞというときにダメな選択肢ばかりを選び、他人に利用されてしまう松子に家庭環境の影を感じて、せつない気持ちになりました。これはこれで全力の人生なのかもしれないけれど、弱い人は自分も周りも不幸にしてしまいます。もう少しだけ強くなれれば、もっと自分を大切にして生きられたのに。

嫌われ松子の一生 通常版 [DVD]

新品価格
¥450から
(2014/12/13 00:04時点)

血と骨 (2004年)

暴力で家族と周りを服従させるモンスター父親と家族を描いた作品です。ビートたけし主演の映画が話題になりました。子供と金に執着して権力を拡張させるものの、やがて衰退の兆しを見せます。抵抗しきれない女性や子供たちが闇に取り込まれていく姿がリアルです。
原作小説の方が、さらにリアルで怖いです。「血は母より、骨は父より受け継ぐ」という一節がありますが、血も骨から作られるものなので、子の中に父が生きる執念のようなものを感じます。>血と骨〈上〉 (幻冬舎文庫)

血と骨 通常版 [DVD]

新品価格
¥3,792から
(2014/12/12 23:27時点)

冷たい熱帯魚 (2010年)

実際に起こった事件「埼玉愛犬家殺人事件」をモデルにしたホラーです。鼻歌を歌いながら死体を解体できるこの人たち…私たち人間とは別の生き物のはずですが、壊れた家族が本来の問題から目を背けた結果、ずるずると恐怖の世界に取り込まれていきます。善悪の判断が鈍ってしまうとこういった弱みに付け込まれやすいので気をつけましょう。本筋ではありませんが、冒頭の食事シーンは、愛がなく冷たくて心が沈みます。ちなみに、かなりの残酷さなですので、覚悟して観てください。

冷たい熱帯魚 [DVD]

新品価格
¥3,663から
(2014/12/12 23:34時点)

誰も知らない (2004年)

親の都合で振り回されるのは子供だと切なくなる映画。出生届さえ出してもらえなかった子供たちが都会のマンションに置き去りにされ、純粋に、必死に生き延びようとします。周りの大人たちの無関心さ、中途半端な優しさが、問題を先送りにしていて、悲しくなります。実際の事件「巣鴨子供置き去り事件」を元に作られた映画ですが、実際の事件はさらに悲惨です。その場しのぎで生きるダメ親も、母親を利用したであろう男たちも重く罰せられるべきであると強く思います。

誰も知らない [DVD]

新品価格
¥2,100から
(2014/12/12 23:56時点)

考えない練習

なぜ、誰もが避けたいはずなのに、余計な考えに意識を奪われたり暴力や精神的な攻撃に引き寄せられてしまうのか。一見矛盾した心のメカニズムを仏教の視点で本能レベルから説明してくれる本。認知を邪魔してしまう意識のノイズを取り除いて穏やかに生きられるといいな。ちなみに、ダメな相手からはきちんと距離を取れと説いてくれています。

考えない練習 (小学館文庫)

新品価格
¥596から
(2014/12/27 22:04時点)

ゲッツ板谷の本

辛いときこそ、笑ってみましょう。ぶっ飛んだ家族や友人に囲まれて暮らす著者が、さまざまな笑いを届けてくれます。「ワルボロ」など不良モノ自伝小説の作者でもありますが、子供の頃にちゃんと反抗して爆発したから、生きる力を持った大人になれたんだろうな。西原理恵子「ぼくんち」の登場人物こういちのモデル。

やっぱし板谷バカ三代 (角川文庫)

新品価格
¥637から
(2014/12/12 23:41時点)

>ゲッツ板谷の本

西原理恵子の本

壮絶な生い立ちの中で自分を客観的に分析する力をつけ、人気漫画家となった西原理恵子さんの本。生きる力がわいてきます。「体力のある、よりえげつない人が勝つ」。そうですね、やられっぱなしではダメですね。あと、家庭環境やアルコール依存症の問題について、周りが無責任なことを言うべきでなく、専門家にしか治せない病気だときちんと言うところに納得しました。家庭内でなんとかしようと家族をかばって問題の存在を隠すことが、解決を遠ざけていると思うので。

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)

新品価格
¥864から
(2014/12/12 23:44時点)

>西原 理恵子の本

>一覧に戻る